お飾りといって、
玄関には季節の生け花を置き、
香炉でお香を焚(た)くのが決まりだ。
その手入れにも
義母「ちょっとキヌ子さん。
このお花、
花びらが大ぶり過ぎないかしら」
「季節に合わないと思わない?」
と口を出す。
だったらご自分でどうぞ、
と言いたいのはやまやまだが、
それは禁句だ。
姑が、嫁に家のしきたりや
その他の決まりを伝授する。
嫁は、姑にならって、
家の切り盛りを仕込んで頂き、
一人で任されるまで反抗は許されない。
師弟関係に近いという感じかな。
古い家は、多かれ少なかれ、
こういう風潮は残っているところが
多いのではないだろうか。
承知のうえで、
夫の求婚を受けたのだから。