ハヤテ
「LINEも電話も、
ずっと返事がないから
婚約破棄になるかと思った~」
開口一番そう言ったハヤテは、
とても嬉しそうな
表情をしていた。
私
「顔を合わせて話した方が、
すれ違いや勘違いが
起こらないと思ったから」
ハヤテ
「それもそうだね。
で、あの契約書の内容、
どこが気に入らないの?
あんなの世間的にもごく普通の
内容じゃないか。
承諾してくれればすぐにでも
結婚できるのに。
どうしたの?」
早くも私の頭は
痛くなってきた。
私
「ハヤテはあの内容が
常識的だと思っているのね?
それがもう、おかしいのよ」
ハヤテ
「え?どこが?
どこの家でも奥さんが掃除、
洗濯、料理はするもんでしょ?
俺、朝は玉子焼きか味噌汁、
もしくは淹れたてのコーヒーの
匂いで目が覚めて、会社では
愛妻弁当を広げて食べるってさ
さやかな夢を持ってるんだよ」
私「ん~?
自分で食べたいものは
自分で作ればいいじゃない。
共働きで、しかも同じ会社に
勤務してるんだよ?
どうして私があなたより
早起きして毎日朝食とお弁当を
用意するのが前提なの?」
ハヤテ
「え?キヌ子~
何言ってるんだよww
料理は女性の方が
得意じゃないか」
私
「シェフや板前さんって、
女性もいるけど男性の方が
圧倒的に多いよね。
それも昔から。
お料理、男性も上手な人は
たくさんいるわね」