夫
「強がるなよ。
高齢ババァの一人暮らしは
惨めだろ?哀れなお前のために、
俺が元鞘に戻ってやるよ」
などと
輪をかけてバカなことを言う。
私
「ざ~んね~ん!
私、とっくに再婚してるの。
素敵な旦那様とね!」
と心底嬉しそうに伝えると、
夫はハトが豆鉄砲を
食らったような顔をした。
夫
「何を言っているんだ。
俺はお前と
離婚なんてしてないぞ。
捨てられ女が
妄想をこじらせたか?」
私
「あなたが姉と逃亡したあと、
しばらくして裁判所から
離婚が認められたのよ。
だから、あなたは赤の他人だし、
私は晴れて
優しい旦那様と再婚できたの」
夫
「さ、裁判所!?」
私
「配偶者が特に正当な理由なく
行方不明になった場合、
裁判所に訴えを起こすと
離婚ができるのよ。
知らなかったの?」
と、私は元夫の無知を
嘲笑ってやった。
いわゆる【悪意の遺棄】による
離婚手続きだ。
義兄から教えてもらった。
失踪宣告から
死亡認定という方法も
あるにはあったが、
7年という年月が必要だし、
財産を相続できるかわりに
もし元夫がひょっこりと
姿を現した場合には婚姻関係に
戻ってしまう。
今の状況を考えると
私の選択は正解だったわけだ。