ヒナちゃんはその日も友達との
楽しい出来事を写真付きで
スマホに送ってきてくれた。
楽しく眺めていると、
インターホンが鳴った。
カメラを確認すると
…見慣れない
中年男が立っていた。
いや、知っている男だ。
だいぶ老けてはいたが、
かつての夫だった。
夫
「トウ子?
まだこの家に住んでるんだろ?
ドアを開けてくれよ」
私が引越して別の人が
住んでいたらどうするんだとか、
15年も音信不通で
よくノコノコと
やって来たものだと呆れた。
が、一度捨てた女を
頼って来るなんて、
おそらく禄でもない目に
合っているに違いない。
好奇心が不快感を上回り、
私は玄関先で
立ち話をすることにした。
夫
「いや~やっぱり
帰るべきは我が家だよな」
などとメダマドコーなことを、
限界に入ってくるなり
宣うものだから、
さすがに驚いた。
夫
「すまんすまん。
15年も俺がいなくて、
辛かったよな」
とニヤつきながら続ける。
私は素で
「ハァ?」
と語尾を上げて返していた。