ヒナちゃんと空港で義兄を
見送り帰宅すると、
家の変化に気づいた。
空き巣にでもあったように
荒らされていたのだ。
私は慌てて通報した。
本当は、何がなくなったのか
早く確認したかったのだけど、
現場をさらに荒らしては
マズいと思ったからだ。
とはいえ、犯人の
心当たりはあった。
窓ガラスも割れておらず、
ドアノブに不審な点もない。
おそらく荒らしたのは
姉か夫だろう。
通報を受けて警察が来るまでの
時間が、長く感じた。
警察の現場検証の際に、
なくなったものを確認すると、
マイホーム資金用の通帳がない。
夫と2人でコツコツ貯めたものだ。
幸い、私個人の通帳は
無事だった。
他にも夫の個人名義の通帳、
衣類、
姉の荷物がなくなっていた。
警察も犯人が身近な人物、
おそらく合鍵を持っている夫が
怪しいだろうと言われた。
だが同時に、
ショッキングなこともわかった。
警察官
「大変申し上げ
にくいのですが、旦那さんか
お姉さんが犯人だとしても、
刑事罰に問えない
可能性が非常に高いんです」
簡単に説明してもらったが、
「親族相盗例」
というものがあって、
身内の窃盗は刑が
免除されるというのだ。