私
「え！誰がですか？」
義兄
「嫁だよ…」
私
「ひ、人違いでは？」
義兄
「逃げられたけど、現場を
押さえたから間違いないよ」
私
「そんな…」
義兄
「ショック…
かもしれないけど、
大事なことだから伝えておく。
…相手はトウ子ちゃん…
君の旦那だよ」
まさか、と思う気持ちと
やはりそうなったか、
という相反する気持ちで
私は頭の中がいっぱいになった。
義兄から状況を聞き出すと
以下のようにまとまる。
思いがけず早く仕事が片付いた
義兄は、会社からの労いもあって
休暇が取れたので、
妻と娘に会いに急遽
こちらへとやって来た。
サプライズ好きな姉のために
予定を知らせなかったのが
仇となった。
空港からタクシーで移動中、
信号で止まると見慣れた車が
隣に来た。
夫の車だ。
ちょっと特殊というか
目立つ車なので
すぐにわかったそうだ。
その助手席に姉がいた。
信号が変わると、
その車はホテルの駐車場に
入っていった。
義兄は慌てて運転手に前の車を
追うように伝え、追いかけた。
車から出てきた2人は
間違いなく夫と姉で、
姉は夫にしなだれかかり、
ホテルのフロントデスクへ
並ぼうとしていた。
追いついた義兄は
2人に駆け寄った。
