浮気

15年後にいきなり家を訪ねてきた夫【8】

 

私への態度とは正反対に、

姉に対する夫のデレデレな態度は

相変わらずだった。

相変わらず貢物をし、

姉も抵抗なく受け取っていた。

 

大きく事が動いたのは、

ヒナちゃんの健診の日だ。

このところ体調が

良さそうだったので、

姉に一緒に行かないかと

誘ってみたのだ。

 

ところが、姉は急にサッと

顔色を変え、

首を横に振った。

 

これまで病院には私が

連れて行っていたが、

今更行くとなると

他人の目が気になるというのだ。

 

かといって、いつかは

ヒナちゃんの面倒は、

母親である姉が見る日が来る。

私は最後までいなくても

良いからと説得を試みたが、

そこに

割って入ったのが夫だった。

 

「お前なぁ…お義姉さんが

嫌がっているのに、

無理強いするなよ!!

優しさの欠片もない女だな!」

 

姉にいい恰好しいばかりで、

私にばかり負担を強いる夫に

我慢の限界が来た。

 

「このままだと

いつまで経ってもお義兄さんの

ところに帰れないじゃない!

ヒナちゃんだって

本当のお母さんがいいでしょう」

 

姉が憎いわけでもなければ、

無理強いをしたいわけでもない。

でも、ヒナちゃんにとって

両親が一緒の方が良いはずだ。

妻子と離れて仕事をしている

義兄だって可哀想だ。