浮気

15年後にいきなり家を訪ねてきた夫【5】

 

ヒナちゃんを寝かしつけながら、

姉の近況を尋ねる。

 

「随分痩せましたね、姉さん」

 

義兄

「元々スリムな

体形だったのに、そこからさらに

体重が落ちてしまってね。」

 

想像以上に大変な状態だと、

私は身構えた。

今のように缶ミルクがあれば

少し違ったんだろうけど、

当時はそんな便利なものは

なかったからね。

ただ、天使のような

ヒナちゃんの寝顔を見ていると、

何としてもこの無垢な存在を

守らねばという決意も

湧き上がって来た。

その日は義兄に泊っていくように

勧めたが、仕事が

溜まっているからと

すぐに自宅へ帰って行った。

見送りの時に夫が

 

「義姉さんのことは

僕にお任せください!」

 

と胸を張っていた。

 

いや、義理の姪である

ヒナちゃんについては

一言もないんかい!

と私は心の中で突っ込んだ。

 

義兄の姿が

見えなくなったとたん、夫は

 

「トウ子。お義姉さんの面倒は

丁寧に、しっかり見ろよ!」

 

と強い口調で言ってきた。

私もカチンときて

 

「もちろんそのつもりだけど、

ヒナちゃんのこともあるし、

私の仕事だってあるわ。

あなたも

協力してほしいのだけど」

 

と返すと

 

「たかだがパートの分際で

何が仕事だ。ちっぽけな

パート代よりお義姉さんの

世話の方が大事だろ!

お義姉さんを蔑ろに

するくらいなら辞めちまえ!!」

 

と鼻で笑いながら言い放った。