その日以降は義兄がヒナちゃんの
世話もするようになったが、
義兄は勤め人である。
日中はどうしても手が回らない。
姉は姉で調子が悪く、基本的に
横になっているばかりで
ミルクを作ることすら
ままならないところまで
追いつめられていた。
義兄
「俺もできるところまで
やったつもりだったんだが、
限界になってしまった。
急で申し訳ないんだが、
妻と娘を預かってもらうことは
できないだろうか」
姉とヒナちゃんのためにも
義兄は仕事をして
稼ぐ必要がある。
うちの両親はいないし、
義兄の両親も既に
オーストラリアを終の棲家と
決め、移住してしまっている。
義兄
「本当にすまない。だけど、
頼れるのはもう
トウ子ちゃんしかいないんだ」
いつもは明るい義兄なのに、
今はすすり泣きながら
懇願している。
何とかしてあげたい。
とはいえ、夫の手前、私の一存で
は決めることはできない。
私は
【夫に確認してから返事をする】
と伝えて通話を終えた。
夫は他人を家に入れるのを
嫌がるタイプだ。
夫自身の親兄弟ですら嫌がって、
わざわざ外で合うように
セッティングするくらい
徹底している。
それなのにひとつ屋根の下で
私の姉と乳児を受け入れるとは
到底思えなかった。
重たい気持ちで仕事帰りの
夫に切り出すと、意外なほど
アッサリと認めてくれた。
寧ろ嬉々として…