夫は姉に会うたびに姉の容姿を
誉めそやしていた。
ヒナちゃんのお披露目から
2カ月ほどたった頃、
義兄から電話がかかって来た。
大抵は姉から連絡があるのに、
と不思議に思って応答すると
義兄「トウ子ちゃん、ゴメン。
助けてほしい」
いつもは快活な義兄の声が
弱り切っているし、
電話越しにもヒナちゃんが
泣いている声が聞こえてくる。
義兄
「最近、妻が
育児ノイローゼ気味なんだ」
私
「え?この前に会った時は
そんな様子じゃ
ありませんでしたよね?」
義兄
「それが…1日中ヒナと
2人きりの状況に
耐えられなくなったらしくてね。
ママ友と呼べる人も
いないようなんだ」
確かに姉は内向的で、
積極的に声をかけて友達を
作るタイプではない。
義兄の元に嫁いでも
それは変わらず、その状態で
1日中赤ん坊の世話に
追われているうちに鬱のように
なってしまったとのこと。
荒れ果てた部屋でヒナちゃんが
火のついたように
泣いていたにもかかわらず、
姉が呆然と我が子を眺めてたり
おしめも変えておらず
ベビーベッドに溢れていた惨状を
帰宅時に目にして、
これはただ事ではないと
義兄は気づいたそうだ。