だから、この旅行の参加者は
全員最初から私の味方で、
懲らしめるために
夫の浮気を知らない体で
演技をしていてくれたのだ。
とはいえ、そんなこととは
知らない夫は、この場で
不倫関係を認めるわけには
いかないだろう。
そんな夫の煮え切らない態度に
業を煮やしたのか、
アケミ
「私達は兄妹同然に
育った幼馴染なの!
トウ子さんなんかより、大事に
されて当たり前なんだから!」
と言い放った。
私
「どう考えてもおかしいから、
この場でみんなが
変だって言ってるんでしょ?
常識的に考えて、妻より
赤の他人を優先するなんて…」
と言い終わらないうちに、
アケミ
「変じゃない!
私が大事にされて何が悪いの?!
そういうの
醜い嫉妬って言うんだよ!」
と暴言を吐いた。
エリ
「そういう考えが
非常識なの!
あ。タクミにばかり
執着するのって、もしかして
一緒に旅行に
行ってくれるような人が、
タクミ以外に
いないからでしょ(笑)
わっかる~。アンタ、
女から嫌われるタイプだから、
友達いなそうだもんね(笑)」
とエリがすかさず毒舌で応戦。
痛い所を突かれたのか、
言葉にならない奇声を発して、
アケミはエリに飛び掛かった。
キャットファイトの開始だ。