タクミ
「アケミ、頭いいな!
万が一、鍵をなくした時にも
近くに住む知り合いに
持っていてもらえば、
便利じゃないか!」
と賛同する。
アケミ
「そうだよぉ。
徒歩5分の距離だもの、
いつでも駆けつけてあげるわ♪」
私は開いた口が
塞がらなかったが
私
「そうですね。近場と言えば、
私の年上の従兄も徒歩10分の
距離に住んでいます。
アケミさんにも渡すのと
同じように、私の従兄にも
渡しましょうか」
と更にトンデモ提案をしてみた。
夫は従兄と結婚式で顔を
合わせているが、その強面ぶりに
少しビビっていた。
男兄弟の末っ子だった
その従兄は、年が離れた
私のことを実の妹以上に
可愛がってくれている。
私
「まあ、私もタクミも
いないときに合鍵を使って
部屋に入ると、従兄と
二人きりという状況に
なる可能性も出てきますが、
それでよろしいですか?」
妻ではない女が合鍵を使って
新居に入り浸っている状況を、
私の親族に知られるのは
流石にマズいと思ったのだろう。
合鍵の話は幸いなことに
立ち消えとなった。
それでも合鍵の要求
がなくなっただけで、
アケミの訪問頻度はさほど
変わらなかった。
1カ月も経たないうちに、
私は限界を迎えた。
私
「ねえ、アケミさんに
少しは家に来るの
控えて欲しいって
伝えてくれない?」
タクミ
「は?なんで?
あいつが一緒だと
お前も楽しいだろ?」