中々パンチの決まった挨拶を
かましてきたのだ。
なんなんだ?この人は…
と目を白黒させているうちに、
夫が
タクミ
「アケミ!よく来たな。
ご近所になるんだから、
いつでも来いよ」
なんて軽い調子で返事をして、
家に上げてしまった。
幼馴染改めアケミは、家に
上がってからも夫にベッタリ。
鼻につく、甘ったれた
少し舌足らずな声で
夫と談笑していた。
妻の目の前で、よその夫に
ここまでベタベタできるなんて、
どれだけ図々しい人なんだ、
というのがアケミに対しての
第一印象だった。
夫も夫で、まだ荷物が山積みに
なっている状況なのに、
アケミ
「引っ越しと言えば
やっぱりお蕎麦だよね~。
あ、引っ越し蕎麦!!
食べたくなっちゃったなぁ」
の声にいそいそと出前を注文…。
引っ越し蕎麦は新居で訪問客が
振舞われるもんじゃないぞ!
引っ越し祝いもナシに
なに考えてんだー!
って心の中で叫んでいた。
まぁ、夫とアケミに私の
魂の叫びが聞こえるはずもなく
引っ越し蕎麦を食べ終えると
アケミは洗い物を
手伝うでもなく、
そそくさと退散。
まるで昼食をたかりに
来たのかと。夫は夫で…
タクミ
「俺、仕事に必要なものを
買い出しに行ってくるよ」
と、引っ越しの後始末を全て私に
丸投げして外出してしまった。
出かけるのならついでと思って
私
「それなら、帰りがけに
ゴミ袋を買ってきてくれない?
今ある分だと
足りないかもしれないから」
と頼むも…