ミチル
「なぁ~んだ!
お義姉さんったら、意外と
物わかりがいいんですねぇ。
ええ、それでいいですよ」
ミチルは満面の笑みである。
私
「玄関で立ちっぱなしのまま
抱っこを代わると危ないわ。
それにちょっと寒いし。
いまパパッと片づけるから、
少しだけ待ってて」
私はそう言って、
いったんリビングに戻って
手早く準備を整えた。
そして手指を洗って消毒も済ませ、
玄関で待っている
ミチルさんを招き入れた。
私
「おまたせ。さぁ、
ミナト君を抱っこさせてよね」
と両手を広げてミチルさんに要求した。
ミチル
「ふふふ。前払い制で。
時間も10秒です」
と言い出した。
私は黙って最初の15,000円を渡した。
お金を触ったので、もう一度
手を除菌用のウェットティッシュで拭き、
やっとミナト君を抱っこ。
ミチル
「10、9、8、7、6、
5、4、3、2、1…!
はい、お終いです」
手早く10秒を数えると、
私の腕からサッとミナト君を
抱き上げるミチルさん。
ほうほう、そうきたか。
ならばもう少し抱かせてもらおうか。
そうやって私は、何度か追加で
抱っこさせてもらった。