両親からのプレッシャーから
解放してくれたという意味で、
甥っ子は私の救世主と
呼ぶべき存在でもあった。
そんな大切な甥っ子に私は
一刻も早く会いたかった。
しかし、急なプロジェクトを
任されてしまったため、
早朝から深夜近くまで職場に
縛り付けられる日々が続いた。
とてもじゃないが、
よそのお宅に訪問できる
状態ではなかった。
できれば出産祝いを早く
手渡したかったのだが…。
そうこうしているうちに
やっと休みが取れたので、
私はミチルさんに顔出しのアポを入れた。
私
「もしもし、キヌ子です。
ご無沙汰してます。
遅くなって申し訳ないのですが、
ミナト君のお祝いに行っても
大丈夫ですか?
次の日曜日はご都合どうでしょう?」
ミチルさんは愛想よく、
ミチル
「ああ、お義姉さん。
お久しぶりです。
わざわざありがとうございます。
日曜日ですね。
マサヒロ君は出かけていますけど、
私とミナトは家にいますから
どうぞいらしてください」
と訪問を快諾してくれた。
日曜日当日、私はミチルさんの
好物の和菓子を携えて、
早く可愛い甥っ子に会いたいと
うきうきした気分で
インターホンを鳴らした。
いつものように歓迎ムードで
出迎えてくれると思っていた。
しかし私は思い切り肩透かしを
食らうことになった。
まず、インターホンでも
ミチル
「今開けます」
と、かなりそっけない返事。