そそっかしい所のある
弟らしいなとも思えた。
この分だとうちの両親には
伝えていないだろうと思って
私
「あ、お母さん?さっき
マサヒロと話してたんだけど
途中で電話が切れちゃったんだけど、
どうやら生まれたっぽいよ」
と連絡しておいた。
独身のクセに
家庭板の住人でもある私は
私
「あ、出産直後に
押し掛けるのはダメだよ。
ちゃんと連絡を入れて、
ミチルさんがOKを出してからだよ」
とも釘を刺しておいた。
生まれた子の性別は男の子で、
【ミナト】君と名付けられた。
ミチルさんの出産後、
しばらくして両親が
お見舞いに行った際に
送ってくれた写真を見た。
マサヒロに似ていて本当に可愛らしくて、
顔が勝手にニヤけてしまうくらいだった。
これまで両親は私に対して
母
「そろそろ、あなたに
いい人はいないの?」
父
「この分だと
初孫の顔を見ることすらなく、
人生が終わるかもな…」
結婚と出産のプレッシャーを
掛けてきていた。
それが初孫フィーバーに突入、
私よりも初孫に意識が向いて
一切何も言わなくなったのだ。
私にとって両親のこの変化は
大変にありがたい事だった。
弟も、
弟
「姉ちゃん、
根っからの仕事人間だからなぁ」
と呆れていたくらいだ。
私は特に結婚願望などもなく、
恋人が欲しいと思ったこともない。
ひたすら仕事に打ち込み、
ちょっとした趣味を
おひとり様で楽しむ余裕が
ほんの少しあれば十分なのだ。