後から父に聞いた話では、
シゲトが私の実家に
到着した時点で
私たち2人はすでに
最悪の状況になっていたみたい。
なんて酷い男だ。
ひたすら自分のせいだ。
嘆き続けていた、と。
両親たちから同情を買うことに
徹底していたという。
嫁と息子の心配よりも
自分の身を守ることを優先する
シゲトを前にして、両親たちは
憤りを感じたらしいが、
抑えて次の段階へと移行した。
母
「このまま
待っているだけでいいのかしら」
父
「そうだな…。でも、この嵐だ。
我々が動いたとしても
見つけられるか…
…警察に相談してみるか…」
警察というワードに家の中には
不穏な空気が漂った。
すると、シゲトがあからさまに焦りだし
夫
「え!け…警察?
それはちょっと…
大袈裟すぎないですか?
待っていればひょっこり
帰ってくるかもしれないのに、
わざわざ警察の手を煩わすのも…
ねぇ…」
そりゃそうだ。
警察が動くってなったら
近所に聞き込みされて
誰かに見られいた場合、
自分のウソがばれちゃうから。
自分を守るために
必死だったんだね…
自分の心配しかしていない
シゲトの態度に、とうとう義父の
怒りが爆発した。
義父
「いい加減にしろ!!
この嵐の中、2人がどんな
思いをしているのか
わかっているのか!
怪我でもしていて動けない
状態だったら、一刻も早い救助が
必要だろうが!」
いつも、朗らかでニコニコしている
義父がこんなにも
大声で怒鳴るなんて…。
それでもシゲトは
夫
「…でもさっ、えっ…と…
もともと、勝手に
出てっちゃったわけだし…そう!
家庭の問題なんだから民事不介入?
ほら!!夫婦喧嘩は
犬も食わないって言うじゃんww」