ユウト
「ママ?はい!ココア!
ママも飲んでみて!
すご〜く元気がでるよ!」
ユウトは自分のココアを
私に差し出した。
あの人のことを考えていたから…
険しい顔をしてたかな。
優しい言葉に涙が出そうになった。
私
「ありがとう。
本当だ!とっても美味しい!!
ママも元気になったよ!」
実家に電話をしようとしたけど、
スマホを家に置いてきたことを
思い出した。
取りに戻ったところで
家に入れてくれないだろうな…
事情は直接言えばいいかと、
そのまま向かうことにした。
私
「よし!ユウト!
おじいちゃんのところに行こう!」
ユウト
「おじいちゃん家?
行こう!楽しみぃ!」
台風のせいで電車が運休していて
タクシーも、いつ乗れるか
わからないくらいの長蛇の列。
休み休み歩きながら
実家に向かうことにした。
コンビニでレインコートを
買い2人で実家を目指す。
一駅の距離とはいっても、休み休み
となると1時間弱くらいかな。
雨と風がますます強まり、
靴はびしょ濡れになり、
風によって体温も奪われた。
厳しい状況だった。
私たちがこんな目に合っていた時
あの2人にも
面倒なことが起こっていたらしい。
母が私に連絡したけど、
一向に出ないので、
自宅に電話を掛けたそうだ。
母
「あ、シゲトさん?トウ子に
電話かけてるんだけど出ないのよ。
家にいる?
代ってもらえるかな?」
夫
「え?
トウ子さんは実家に行くといって
ユウトと一緒に
出ていきましたけど。
あれ?おかしいな…
まだ着いていないんですか?」
母
「なんでこんな時に!?
台風が来てるのよ!」