モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【28話】

 

フク「そうですね。

隣同士の部屋を

用意してありますから、何か

あればすぐに対応できます。」

 

ジロウ

「それに、せっかくの

ツナツナ邸です。

マグロ尽くしのフルコースも

予約済みなんですよ。

味わわないともったいない!」

 

私は少し考え、

小さく笑みを浮かべた。

 

「ありがとうございます。

せっかくですし…頂きます。

きっと

美味しいんでしょうね。」

 

フク

「よかった。

ゆっくり休んで、

美味しいものを食べて。

明日の朝、改めて

今後の流れについて

お話しできればと思います。」

 

私は少し迷ったが、

フクさんたちの温かい笑顔に

背中を押され、宿泊を決めた。

 

部屋に案内され、一息ついた

後、夕食の時間になった。

 

その夜、4人で

豪華なマグロ料理を堪能した。

緊張していた心が、少しずつ

ほぐれていくのを感じる。

 

フク

「これが噂の大トロの炙り

刺身ですね。絶品です!」

 

イチロウ

「ほんとうに、

とろけるような味わいだ」

 

ジロウ

「兄貴、久しぶりに

美味しそうに食べるね」

 

私は箸を止め、

みんなの顔を見回した。

 

「みなさん、本当に

ありがとうございます。」

 

思わず涙が込み上げてきた。

フク弁護士が優しく微笑んだ。

 

フク「キヌ子さん、これは

あなたの勇気のおかげです。

勝利の美酒を味わう資格は

十分にありますよ(笑)」

 

4人で杯を上げ、新しい人生の

始まりを祝った。

 

この瞬間、私は心から

幸せを感じていた。

長かった苦しみを抜け、

ようやく自由を

手に入れた喜びを、

胸いっぱいに感じながら。

 

新生活を始めて半年が経った。

 

まだ不安はあるし、

時々辛くなることもある。

でも、もう後ろは

振り向かない。

 

これからは前を向いて、

息子と二人、一緒に

一歩ずつ歩んでいこう。

 

終わり