フク「そうですね。
隣同士の部屋を
用意してありますから、何か
あればすぐに対応できます。」
ジロウ
「それに、せっかくの
ツナツナ邸です。
マグロ尽くしのフルコースも
予約済みなんですよ。
味わわないともったいない!」
私は少し考え、
小さく笑みを浮かべた。
私
「ありがとうございます。
せっかくですし…頂きます。
きっと
美味しいんでしょうね。」
フク
「よかった。
ゆっくり休んで、
美味しいものを食べて。
明日の朝、改めて
今後の流れについて
お話しできればと思います。」
私は少し迷ったが、
フクさんたちの温かい笑顔に
背中を押され、宿泊を決めた。
部屋に案内され、一息ついた
後、夕食の時間になった。
その夜、4人で
豪華なマグロ料理を堪能した。
緊張していた心が、少しずつ
ほぐれていくのを感じる。
フク
「これが噂の大トロの炙り
刺身ですね。絶品です!」
イチロウ
「ほんとうに、
とろけるような味わいだ」
ジロウ
「兄貴、久しぶりに
美味しそうに食べるね」
私は箸を止め、
みんなの顔を見回した。
私
「みなさん、本当に
ありがとうございます。」
思わず涙が込み上げてきた。
フク弁護士が優しく微笑んだ。
フク「キヌ子さん、これは
あなたの勇気のおかげです。
勝利の美酒を味わう資格は
十分にありますよ(笑)」
4人で杯を上げ、新しい人生の
始まりを祝った。
この瞬間、私は心から
幸せを感じていた。
長かった苦しみを抜け、
ようやく自由を
手に入れた喜びを、
胸いっぱいに感じながら。
新生活を始めて半年が経った。
まだ不安はあるし、
時々辛くなることもある。
でも、もう後ろは
振り向かない。
これからは前を向いて、
息子と二人、一緒に
一歩ずつ歩んでいこう。
終わり