モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【25話】

 

イチロウは冷静に、しかし

厳しい口調で返した。

 

イチロウ

「アケミさん、

それだけの覚悟が

なかったのですか?

自分の行動には

責任が伴います。

逃げようとしても無駄ですよ。

 

しっかり

向き合ってください。」

 

アケミは言葉を失い、

足から力が抜けたように、

その場にへたり込んだ。

 

呆然とした表情で、

ただ床を見つめている。

 

アケミが呆然自失の状態に

陥る一方で、ヒュウガは

依然としてジロウに

押さえつけられたまま、

怒りを爆発させていた。

 

「くそっ!離せよ!

何様のつもりだ、てめぇら!」

 

ヒュウガは顔を真っ赤にし、

首筋の血管を

浮き立たせながら叫び続ける。

 

「ふざけんな!

俺が悪いみてぇな

言い方すんじゃねぇ!

お前ら、いい商売だよな!

人の人生をぶち壊して、

金を巻き上げてよぉ!」

 

私はこの光景を

じっと見つめていた。

目の前にいるのは、

かつては愛していた男。

そして、その男と関係を

持っていた女。

 

今や二人とも、みっともない

姿をさらしている。

 

不思議なもので、

この二人を見ていると、

怒りでも憎しみでもない。

何だか哀れみっぽい、

複雑な感情が湧いてきた。

 

自分でも驚くくらい冷静に、

二人の姿を

眺めている自分がいた。

 

ヒュウガとアケミが

取り乱す中、イチロウは

静かに、しかし力強い口調で

語り始めた。