彼は周囲を睨みつけ、
その視線は次第に
狂気を帯びていった。
夫
「甘く見るな…
こんなくだらねぇ茶番、
ぶち壊してやる!!!」
夫
「お前ら、何様のつもりだ!
俺の人生に首を
突っ込むんじゃねえ!」
次の瞬間、夫は手当たり
次第に宿の備品を投げ始めた。
花瓶が床に落ちて砕ける音、
障子が破れる音が
部屋中に響き渡る。
私は恐怖で体が固まった。
酔っているときの
悪癖が出たのね。と、
思った瞬間、ヒュウガが
私に向かって突進してきた。
とっさに頭を庇い、
蹲ることしかできない。
「もうダメだ」と思った時、
夫
「ぐえっ!」
という夫の呻き声が聞こえた。
恐る恐る目を開けると、
ジロウさんがヒュウガを
畳に押さえつけていた。
夫
「離せ!このクソ野郎!」
ぐえぐえ言いながらも、
ヒュウガはジロウさんや
弁護士たちを罵り続ける。
アケミは、ヒュウガの
暴れる姿を初めて目の当たりに
したのだろう。
彼女は真っ青になって震え、
涙を流していた。
アケミ
「ヒュウガ君が
こんな暴力的な
人だったなんて…。
信じられない。別れたい!!
こんな人無理ぃ!」
ヒュウガは
押さえつけられながらも、
アケミに向かって怒鳴った。