モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【20話】

 

フク

「いいえ、こちら

手違いではございません」

 

フク弁護士の声に、

いつもの冷静さが感じられた。

 

フク

「さあ、本番は

これからでございます」

 

襖を開け放つ音が、

はっきりとイヤホンに響いた。

 

ジロウ

「いよいよですね、

キヌ子さん」

 

私は深呼吸をした。

ここからが本当の勝負だ。

 

夫の浮気の証拠を

掴むだけでなく、私自身の

人生の岐路に立っているのだと

実感した。

 

フク弁護士が襖を開け放つと、

そこに立っていたのは私。

 

夫とアケミの顔が見る見る内に

青ざめていく様子が

手に取るように分かった。

 

「あ…あっ…」

 

アケミ

「な、なななな…」

 

碌に言葉も発せられない

2人を見て、私は笑いださない

ようにするのが大変だった。

 

でも、ここは冷静に。

 

深呼吸をして、穏やかな口調で

話し始めた。

 

「どうかな?私からの

サプライズプレゼント。

気に入ってくれた?

罠とも知らず、道中も部屋でも

すごく楽しそうだったねっ」

 

ヒュウガの顔が怒りで

真っ赤になった。

 

「お、おまっ!!

俺たちを嵌めたのか!」

 

アケミ

「酷い!

こんなことするなんて…」