モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【17話】

 

アケミ

「うふふw

今回はありがとう。

ツナツナ邸だなんて

びっくりしたわ」

 

「お前もマグロが

好きだもんな。

いや~、普段使えねぇと

思ってた嫁だけど、

今回ばかりはいい仕事

してくれたもんだよww」

 

アケミ

「ホントよね~w

いつまでもヒュウガ君に

しがみついてみっともない

オバサンだと思ってたけど、

今回ばかりは

奥さんに感謝だねww」

 

私の胸が痛んだ。

 

でも、感情を押し殺して

録音を続けた。

 

ジロウ

「…キヌ子さん、

大丈夫ですか?」

 

「え?えっ…と。

大丈夫です」

 

道中、二人は何度も私のことを

馬鹿にして笑っていた。

 

その度に胸が締め付けられる

思いだったが、これらの会話を

確実に録音していった。

 

浮気相手が夫の

既婚状態を知っていた

証拠として重要だった。

 

いくつか観光名所を巡った後、

夫の車、ひいては

私とジロウさんは

ツナツナ邸に到着した。

 

ツナツナ邸は、日本海を望む

小高い丘の上に建つ、

和モダンな外観の高級旅館だ。

 

入り口には、巨大なマグロの

彫刻が置かれており、

その存在感は圧倒的だった。

 

私たちは夫の車から

少し離れた場所に車を停め、

双眼鏡で様子を窺った。

 

玄関では、和服姿の

スタッフが深々と頭を下げ

出迎えていた。