アケミ
「うふふw
今回はありがとう。
ツナツナ邸だなんて
びっくりしたわ」
夫
「お前もマグロが
好きだもんな。
いや~、普段使えねぇと
思ってた嫁だけど、
今回ばかりはいい仕事
してくれたもんだよww」
アケミ
「ホントよね~w
いつまでもヒュウガ君に
しがみついてみっともない
オバサンだと思ってたけど、
今回ばかりは
奥さんに感謝だねww」
私の胸が痛んだ。
でも、感情を押し殺して
録音を続けた。
ジロウ
「…キヌ子さん、
大丈夫ですか?」
私
「え?えっ…と。
大丈夫です」
道中、二人は何度も私のことを
馬鹿にして笑っていた。
その度に胸が締め付けられる
思いだったが、これらの会話を
確実に録音していった。
浮気相手が夫の
既婚状態を知っていた
証拠として重要だった。
いくつか観光名所を巡った後、
夫の車、ひいては
私とジロウさんは
ツナツナ邸に到着した。
ツナツナ邸は、日本海を望む
小高い丘の上に建つ、
和モダンな外観の高級旅館だ。
入り口には、巨大なマグロの
彫刻が置かれており、
その存在感は圧倒的だった。
私たちは夫の車から
少し離れた場所に車を停め、
双眼鏡で様子を窺った。
玄関では、和服姿の
スタッフが深々と頭を下げ
出迎えていた。