モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【16話】

 

「ジロウさん、

計画通りです。

夫が罠に嵌りました」

 

ジロウ

「了解です。

では次の段階に進みましょう」

 

実は、ツナツナ邸絡みのことは

既にジロウさんに

連絡済みだったのだ。

 

ジロウ

「キヌ子さん、

今から指示する通りに

行動してください」

 

私はジロウさんの指示に従い、

夫の車と旅行鞄にGPSと

盗聴用マイクを仕込んだ。

 

手が震える。

 

こんなことをするなんて、

自分でも信じられない。

 

でも、もう後戻りはできない。

作業を終えた後、

私は深いため息をついた。

 

胸の中で後ろめたさと

決意が交錯する。

 

これから始まる

真実との対峙に、私は静かに

覚悟を決めたのだった。

 

旅行当日、朝早くから

ジロウさんと待ち合わせをし、

夫の車を追跡する

準備を整えた。

 

ジロウ

「キヌ子さん、

準備はいいですか?」

 

「はい…」

 

緊張で声が震える。

 

夫が車に乗り込むのを

見届けてから、

私たちも車で後を追った。

 

GPSの画面を見つめながら、

ジロウさんが言った。

 

ジロウ

「地元駅で

止まりましたね。

誰かを

ピックアップするのでしょう」

 

案の定、夫の車に一人の女性が

乗り込んだ。

盗聴器を通して、車内の会話が

聞こえ始めた。