モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【13話】

 

ミヤコ

「もしもし、タカシ?

ああ、ミヤコだよ。

ちょっとお願いがあってね…」

 

私が驚きの表情で見守る中、

ミヤコ先輩はあっさりと予約に

こぎつけてしまった。

 

ミヤコ

「はい!

これで来週の金曜日に2人分の

予約が取れたわよ」

 

「す、すごいです…

先輩の人脈は一体…」

 

ミヤコ

「ふふふ、

年の功ってやつよ。

さあ、これで旦那さんを

誘い出す準備は整ったわけだ。

あとは上手く

罠にかけるだけね」

 

私は感謝と驚きで

言葉を失った。

 

ミヤコ先輩の行動力と

人脈の広さに、改めて

畏敬の念を抱いた。

 

そして、これから始まる

作戦に、期待と不安が入り

混じる複雑な気持ちになった。

 

夕食の片付けを終え、

リビングでくつろぐ夫に、

緊張しながら声をかけた。

 

「あのさ、ヒュウガ。

ちょっといい?」

 

「あ?なんだよ」

 

テレビから目を離さず、

素っ気ない返事。

いつもの調子だ。

深呼吸して、続けた。

 

「ヒュウガ、

マグロが好きでしょ?

週末にツナツナ邸の予約が

取れたんだけど、どうする?」

 

「は?

ツナツナ邸って何だよ?」

 

「ん?ツナツナ邸?

あの、ツナツナ邸か!?」

 

最初は私の話など興味も

なかった夫だが、ツナツナ邸と

いう言葉で頭の中の

シナプスが繋がったらしく、

ガバッと身を起こした。

 

その急な動きに、私は

少し後ずさりしてしまった。