ミヤコ
「もしもし、タカシ?
ああ、ミヤコだよ。
ちょっとお願いがあってね…」
私が驚きの表情で見守る中、
ミヤコ先輩はあっさりと予約に
こぎつけてしまった。
ミヤコ
「はい!
これで来週の金曜日に2人分の
予約が取れたわよ」
私
「す、すごいです…
先輩の人脈は一体…」
ミヤコ
「ふふふ、
年の功ってやつよ。
さあ、これで旦那さんを
誘い出す準備は整ったわけだ。
あとは上手く
罠にかけるだけね」
私は感謝と驚きで
言葉を失った。
ミヤコ先輩の行動力と
人脈の広さに、改めて
畏敬の念を抱いた。
そして、これから始まる
作戦に、期待と不安が入り
混じる複雑な気持ちになった。
夕食の片付けを終え、
リビングでくつろぐ夫に、
緊張しながら声をかけた。
私
「あのさ、ヒュウガ。
ちょっといい?」
夫
「あ?なんだよ」
テレビから目を離さず、
素っ気ない返事。
いつもの調子だ。
深呼吸して、続けた。
私
「ヒュウガ、
マグロが好きでしょ?
来週末にツナツナ邸の予約が
取れたんだけど、どうする?」
夫
「は?
ツナツナ邸って何だよ?」
夫
「ん?ツナツナ邸?
あの、ツナツナ邸か!?」
最初は私の話など興味も
なかった夫だが、ツナツナ邸と
いう言葉で頭の中の
シナプスが繋がったらしく、
ガバッと身を起こした。
その急な動きに、私は
少し後ずさりしてしまった。