ミヤコ
「いやねぇ、
一時期すごく明るくなって、
今までにないくらい目も
輝いていたのに、
最近はまたくたびれた印象に
なってたから心配でね」
私
「そんなに
分かりやすかったですか…」
私は少し
恥ずかしくなりながら、
ため息をついた。
私
「実は…」
私は躊躇いながらも、
なかなか尻尾を掴ませない
夫の話をした。
探偵さんを雇っても
決定的な証拠が取れないこと、
夫の用心深さに苦戦している
ことを打ち明けた。
話を聞き終えたミヤコ先輩は、
こともなげにこう言った。
ミヤコ
「鳴かぬなら
鳴かせてみよう、
ホトトギスってね。
尻尾を掴めるように
出させればいいのさ」
私
「そんなこと
できるんですか!?」
私は驚きのあまり声が
裏返ってしまった。
ミヤコ
「そうそう、
キヌ子ちゃん。
前に旦那さんの話をしてた時、
魚が好きって言ってたよね?」
私
「ええ、特にマグロが
大好きなんです。
高級な寿司屋さんに行くのが
夢だって言ってました」
ミヤコ
「マグロか…
そう言えば、最近話題の旅館が
あるのよ。
ツナツナ邸って
聞いたことある?」
私
「ツナツナ邸ですか!?
あの超人気旅館ですよね?」
ミヤコ
「アタシね、
ツナツナ邸のオーナーの
知り合いなんだよ。
いっちょ一肌脱いでやるよ!」
ツナツナ邸とは、
マグロのフルコースを
目玉にした超人気旅館だ。
予約も常連や上位会員が
優先で、一般人には至難の業。
私の目の前で、
ミヤコ先輩は
スマートフォンを取り出し、
さっそく電話をかけ始めた。