モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【12話】

 

ミヤコ

「いやねぇ、

一時期すごく明るくなって、

今までにないくらい目も

輝いていたのに、

最近はまたくたびれた印象に

なってたから心配でね」

 

「そんなに

分かりやすかったですか…」

 

私は少し

恥ずかしくなりながら、

ため息をついた。

 

「実は…」

 

私は躊躇いながらも、

なかなか尻尾を掴ませない

夫の話をした。

 

探偵さんを雇っても

決定的な証拠が取れないこと、

夫の用心深さに苦戦している

ことを打ち明けた。

 

話を聞き終えたミヤコ先輩は、

こともなげにこう言った。

 

ミヤコ

「鳴かぬなら

鳴かせてみよう、

ホトトギスってね。

尻尾を掴めるように

出させればいいのさ」

 

「そんなこと

できるんですか!?」

 

私は驚きのあまり声が

裏返ってしまった。

 

ミヤコ

「そうそう、

キヌ子ちゃん。

 

前に旦那さんの話をしてた時、

魚が好きって言ってたよね?」

 

「ええ、特にマグロが

大好きなんです。

高級な寿司屋さんに行くのが

夢だって言ってました」

 

ミヤコ

「マグロか…

そう言えば、最近話題の旅館が

あるのよ。

ツナツナ邸って

聞いたことある?」

 

「ツナツナ邸ですか!?

あの超人気旅館ですよね?」

 

ミヤコ

「アタシね、

ツナツナ邸のオーナーの

知り合いなんだよ。

 

いっちょ一肌脱いでやるよ!」

 

ツナツナ邸とは、

マグロのフルコースを

目玉にした超人気旅館だ。

 

予約も常連や上位会員が

優先で、一般人には至難の業。

 

私の目の前で、

ミヤコ先輩は

スマートフォンを取り出し、

さっそく電話をかけ始めた。