モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【4話】

 

パート先のスーパーで

働き始めて半年が過ぎた頃、

私の様子の変化に

気づいたのは、

同じレジ担当の先輩、

ミヤコさんだった。

 

ミヤコさんは50代後半の、

誰からも慕われる

「世話好きおばちゃん」

的存在だ。

 

ある日の閉店後、私が黙々と

レジ周りを掃除していると、

ミヤコさんが

突然声をかけてきた。

 

ミヤコ

「ねえ、キヌ子ちゃん。

最近家庭があんまり上手く

いってないんじゃない?」

 

その単刀直入な質問に、

私は思わず手を止めた。

 

驚きと戸惑いで言葉が出ない。

 

「…ッえ?

ど、どうして…ですか?」

 

ミヤコ

「そりゃあねぇ、

休憩時間になっても

ため息ついたり

遠い目をしていたり。

仕事が終わって帰る時も

憂鬱そうな顔してるじゃない?

 

このオバちゃん、そういうの

見逃さないのよ(笑)」

 

私の態度は、

思った以上に周りに

伝わっていたようだ。

 

恥ずかしさと申し訳なさで

頬が熱くなる。

 

ミヤコ

「ほら、

みんな帰っちゃったし。

オバちゃんに話してごらんよ」

 

ミヤコさんの優しい笑顔と

温かい雰囲気に、

長年抑え込んでいた感情の堰が

一気に崩れた。

 

私は夫との関係を、

涙を堪えながら

洗いざらい話し始めた。

浮気、暴言、アルコール問題、

そして息子のこと。

 

話し終えると、

普段はニコニコしている

ミヤコさんの表情が一変した。

 

怒りに満ちた目つきは、

まるで般若のようだった。