どうしようかと考えつつ、
私はそのままコーヒーを
堪能して店を後にした。
モヤモヤを晴らしたくて
寄り道をしながら帰ったら、
20時を回ってしまっていた。
まあいいか。
家にあるものでサッとカレーか
焼きそばでも作れば…
そう思って玄関を開けると、
夫の靴と見たことのない
女性物の靴がある。
サイズもデザインの好みも、
明らかに私とは違う。
これは…と思って息をひそめて
私は家の中へ進む。
リビングのドアから声が
聞こえてきた。
テレビの音ではない。
夫と聞き覚えのない女性の声だ。
夫
「どう?気に入った?
結構奮発したんだよ」
マホ
「わぁ!これ、前から
私が欲しいっていってた指輪!
嬉しい!ありがとう」
夫
「未来の奥さんに
プレゼントだよ」
マホ
「え…。それって」
夫
「今すぐとはいかないけれど、
俺と結婚してください」
マホ
「はいッ!私も
サトシさんのこと、愛してます」
おいおい、
妻と暮らしている家で別の女に
プロポーズかよ。
ショックを受けながら
更に会話を盗み聞きする。
自分の家なのに
コソコソしてるのおかしくない?
と思いながら。
夫
「この家は姉貴と
暮らしてるから、君を呼び寄せる
わけにもいかないんだよな」
マホ
「それじゃあ、新しい物件を
不動産屋さんで探そうか?
焦らなくてもいいと思うけど。
それより、
今日は簡単なものでいい?」