夫
「トウ子、お前…
こんなものをよく出せたよな!
新しいレシピに挑戦するんなら、
一度成功してから出せよ!
俺は実験台じゃないんだぞ!
気分悪い!外で食ってくる!」
と言いたいだけ言って、
1人で出かけてしまった。
最近、イライラすることが多く
なって優しい言葉をかけてくれる
ことが本当に減った。
どうしたんだろう…
と困惑しながら私は食卓を
片付け、1人で就寝した。
翌日、私は夜勤に出た…
つもりだったが
以前、同僚が家族の急病で
急遽シフトチェンジした時の
振り替え休日だったのを
忘れていた。
前日のショックが
大きかったのかもしれない。
せっかく家を出たのだからと
少しレトロな喫茶店に入り、
ゆっくりと
リフレッシュしようと
刻一刻と夕闇に染まる街の景色と
香りの良いコーヒーを
楽しんでいた。
ところがだ。
喫茶店の窓から見える
パチスロ店に何気なく目を
向けたところ、
夫が出てくるのを
目撃してしまったのだ。
私
「ギャンブルからは足を
洗ったんじゃなかったの…?」
夫の収入は決して多くはない。
なにせ義両親から援助を
もらっているくらいなのだから。
最近の高級品のお土産は
もしかしてパチスロの
景品だったのだろうか。
それに仕事はどうしたのか。
怪しいことばかりだ。