オーナー
「驚いたかい?
みんな優秀なスタッフだから、
グループ店舗や知り合いの店舗で
しばらく
働いてもらっていたんだよ。
そうしたらいつでもこの店に戻って
来られるからね。
トウ子さんの人望の賜物だよ」
一度落ちた評判を覆すのは難しい。
けれど、まずはいつも
予約してくれた常連さんに
予約再開の旨をご連絡。
足を運んでいただき、
満足してもらって…
という感じで徐々に口コミも回復。
オーナーシェフの息子という
ポジションに甘えていた夫は
再就職にも苦労した。
もう40近い年齢だし、
そもそもポンコツ。
運よく職を得ることができても、
使用期間中に首を切られると
いうことがずっと続いている。
キホは親に泣きついて慰謝料を
用意してもらった。
その見返りと言っては変だけど
親戚が経営している
万年人手不足の工場で、低賃金で
働かされているという。
夫がいなくなったお店には、
オーナーの元でみっちりと
修業したシェフがやってきた。
夫よりも遥かに料理の腕が良い。
元からいたスタッフの頑張りも
あったけれど、
この人の料理があったからこそ、
評判回復までが
早かったようなものだ。
新しいシェフは料理一辺倒な
職人気質な所があるので、
私は経営や集客面での
アドバイスをする。
一緒にシーズンイベントを
考えることも多く、なにかと
接する機会が多いのだ。
私と同年齢で親しみやすく、
現在ちょっといい
雰囲気になっている。
今度の恋は大切に育みたいな。
終わり