夫の薄っぺらい主張をオーナーは
ばっさばっさと斬り伏せる。
何も言えなくなる夫とキホ。
オーナーは私に向き合った。
オーナー
「今回は息子が
申し訳なかったね。
恥を忍んでお願いする。
またこの店の
切り盛りをしてくれないか」
私「でも、私、
勝手なことをしちゃいましたし…。
こんなにご迷惑まで。
それに、もう
ライバル店舗で働いてますし…」
オーナー
「あの店なんだが、
オーナーが私の古い友人なんだ。
君があちらに就職したことは、
彼からすぐに連絡があったんだよ。
だから私も交渉を持ち掛けたのさ。
こっちのゴタゴタが片付いたら、
戻してもらうことは
できないかってね」
チャーミングにパチンと
ウィンクをするオーナー。
オーナー
「心配なら、ほら、
電話で確認してごらん？」
そう言ってオーナー自ら
ライバル店舗のオーナーに
電話を掛けた。
確かに既に話は通っていて、
ライバル店のオーナーも
私を快く送り出してくれるという。
今よりもさらにいい店にするという
ことだけは約束してくれ、
と言ってくれた。
私は何度も何度も
電話越しに頭を下げた。
私はなんて周りの人に
恵まれているのだろう。
その中に夫が入っていないのが
残念でならない。
