オーナー
「よりによって
最後に残ったスタッフがこれか。
もういい。
お前たちとこの店は今日から
無関係になるんだからな」
夫
「待ってくれよ、親父!
急すぎるって!
それに何でトウ子まで
一緒にいるんだよ!
せめて説明くらいしてくれよ!」
そう、実はこのオーナーシェフ、
夫の実父。
つまりは私の義父にあたる。
息子にのれん分けをした形に
近いのかな?
夫「俺たちより先に
トウ子が辞めてるだろ!?
なんでここにノコノコ足を
踏み入れてるんだよ!?」
私がいることで
ギャンギャンと喚きたてる夫。
オーナー
「私が呼んだ。
この店を立て直してもらうためだ」
夫
「この店がこんなになったのは、
トウ子が辞めたからだろ!?」
オーナー
「そうだ。トウ子さんは
それだけこの店に必要な人だった。
それをお前はどんな扱いをした?
店長の役目は厨房で腕を
振るうだけだと思っていたのか?
スタッフの管理も
含まれているんだぞ」
夫
「そんなの、スタッフが
勝手なことをしたら
止められないだろ!?
それに
この店を繁盛させてきたのは…」
オーナー
「スタッフに勝手なことを
起こさせないように、
常日頃から気を配る
必要があったと言っている。
それにこの店が盛り上がっていたの
はトウ子さんのおかげだろう。
トウ子さん本人が自分の手柄を
吹聴しなくても、報告書を読めば
それくらいわかる」