従業員たちは私が去って
早い段階で、常連さんや
記念日利用の予約を断っていた。
ベストパフォーマンスでお客様を
迎えることができないからだ。
こうして可能な限りお客様への
被害を少なくした状態で、
従業員一同、退職届を
夫のデスクに置いて店を去った。
その翌日、出勤した夫が
目にしたのは退職届の山。
夫
「あいつも、こいつも!?
嘘だろ、全員退職って、
なんの悪ふざけだ!」
キホ
「えぇ!?
お店、どうなっちゃうの!?」
夫とキホの反応が
気になった従業員がコッソリ隠れて
様子を窺うと、パニックに
陥った2人の姿が確認できたそうだ。
私も見たかった(笑)
夫は頭をフル回転させて、その日は
他店舗からヘルプの人員を呼んだ。
雇用契約書に他店舗への
ヘルプも記載されているからだ。
他店舗スタッフは
頑張ってくれたけれど、
やはりホームとアウェイでは
勝手が違う。
その程度ならすぐにリカバリーが
効いたはずだが、ここぞとばかりに
張り切ったキホが空回り。
高級店に相応しくない接客で、
やはりクレームの嵐となったのだ。
こうなると、もう、
口コミの悪化は免れない。
あっという間に悪評が駆け抜け、
1ヵ月もする頃には予約困難店から
閑古鳥が鳴く店へと
変貌を遂げてしまった。