私が店を後にしてからの話は、
当時から懇意にしていた
従業員から聞いた。
私の退職を重く受け止めていたのは
従業員たちで店長である夫と
キホはイマイチ重大さを
認識できていなかったという。
夫
「おいおい、そこまで
大騒ぎすることか?
確かにベテラン従業員が
いなくなったのは痛いけど、
また人を雇えばいいんだし」
従業員1
「店長!?本気で、本気で
そんなこと言ってるんです!?」
従業員2
「なんで店を去るのが、
よりによって
トウ子さんなんだよ!?
店長が居なくなったって、
トウ子さんさえいれば
店は安泰なのに!」
従業員3
「オワタ。
俺も再就職先を探すか…」
夫
「みんなして大げさだな。
たかがパート社員じゃないか。
ほら、今日の準備を…」
従業員一同
「ええー!?」
従業員1
「ま、まさか、店長が
こんなに状況を
把握できていないだなんて」
従業員2
「自分の店のことですよ!?
ああ、やっぱりトウ子さんなしの
店なんて、絶望だ」
従業員3
「トウ子さん、
随分前から本店の正社員です。
それに今は
SV(スーパーバイザー)で、
複数店舗を
統括してるんですよ!?」
夫
「は?」
夫が店を立ち上げる時に、
コネ採用された私。
けれど、様々な改善策を提案、
実行していくと既存店舗より評判が
良くなっていったんだ。
そして視察に来たオーナーが
それを知ると、私を正社員に
格上げしてくれた。