夫
「もちろんだよ。
一目会った時からビビッと来たね」
キホ
「やっぱり~?
キホも店長に一目ぼれだよ~!
これが運命の赤い糸なのねぇ」
と、私の前で
2人の世界に入りきる夫とキホ。
夫
「俺の女神はトウ子じゃなくて
キホちゃんなんだよ!
やっと巡り合えた奇跡だよ」
キホ
「うれしぃ~。
店長みたいに料理上手で
リッチな男性には、
奥さんみたいな
ショボいオバサンより、
若くて可愛いキホが似合うよね~」
こともあろうに、
キホは私に対して
マウントまで取って来た。
キホ
「うふふ。
だから、オバサンは
もう用なしなんです!
さっさと店長夫人の座を
私に譲ってくださいねぇ。」
調子に乗ってこんな暴言まで。
私は怒鳴り散らしたくなる気持ちを
グッと喉元で押さえ、
あくまで落ち着いてこう言った。
私
「ご自由にどうぞ。
私も好きにさせてもらうので、
おあいこってことで」
そしてそのまま夫とキホを
店から追い出した。
帰宅すると夫は既に寝室に
籠っていた。
私も入浴を終え、ベッドに入る。
しかし、眠れない。
そのまま
まんじりともせず夜明けを迎えた。