カケル
「お、お母さん…」
弱々しい声の主は、
息子だったのだ。
どうして義母の携帯から
電話をしてくるのだろう。
キヌ子
「カケル!?
どうしたの!?
何があったの!?」
カケル
「あのね、
具合悪いんだ」
ぜいぜいと息を切らせ、
気持ち悪そうに
「うっ」とうめく息子に、
私は血の気が
引く思いだった。
朝は何ともなかったのに、
いきなり体調不良に
なったようだ。
カケル
「昼休みが終わる
直前くらいから、
気持ち悪くなってきて。
寒気もしてきて、
保健室に行ったら
38℃あって。
学校は早退した」
キヌ子
「大丈夫なの?
いま、おばあちゃんの
ところ!?」
カケル
「うん。
学校から帰ったら、
家に入れなくて…」