夫の会社はさほど大きくなく、
アットホームな職場環境を
売りにしている。
社内イベントでも社長とは
何度か顔を合わせているので、
向こうから声を掛けてくれた。
社長
「おや、マサヤ君の
奥さんじゃないですか。
マサヤ君の体調はその後いかがですか?
我々も心配で…」
社長さんはいい人だ。
社員1人1人の体調にまで
気づかってくれている。
私は申し訳なさを感じたが、
正直に事情を掻い摘んで説明した。
私
「それで、取引先の女性と
2人で出張に行ったんですけど…」
と伝えると、社長は即、
取引先に確認の電話を入れてくれた。
すると、取引先の方でも
その日出張予定の社員は
いないということが判明。
そのかわり4日ほど有給を
取っている社員がいるという。
続いて、社長は夫の社用携帯の
GPSをオンにしてくれた。
律儀にも夫は、社用携帯を
持って行ったらしい。
GPSが示した場所は、
北関東の有名な保養地だった。
社長
「これは…どういうことだ!?
この近辺にうちの取引先は
ないはずだぞ!
どうしてこんな場所にいるんだ!
マサヤ君は1カ月もの間
仮病を使って遊び歩いているのか!?」
と怒り心頭のご様子だった。