夫
「うーん、ちょっと寝付けなくてさ」
と夫は渋っていた。
遠足前の子供がワクワクする
心理と同じなのだろうか。
夫はそんなにも
浮気相手と旅行に出向くのが
楽しみで仕方ないのか…。
私
「私がちゃんと起こしてあげるから、
心配しなくていいよ」
私は少し強めのウィスキーを
夫に進め、飲ませた。
夫は美味しそうにグラスを開けると、
やがてスコーンと眠りに落ちた。
夫はお酒が好きだが弱く、
飲むと爆睡してしまうのは
よく知っている。
伊達に大学時代からの付き合いではない。
私はそれを利用させてもらった。
私はグッスリ眠る夫のスマホから、
何か手掛かりはないかと
LINEのやりとりを遡って確認していった。
夫のスマホのロックは
自分の生年月日という極めて
単純な暗証番号だったため、
難なくクリアした。
LINEのやりとりは主に
取引先の女性としているようであったが、
所謂イチャラブな
やり取りは見つからない。
恐らく、怪しそうなものは
消しているのだろう。
しかし、スマホのチェック中に
浮気相手
「明日からの旅行、楽しみだね」
というメッセージが入った。
その直後にある文言も。
これは、もう確定だろう。