浮気

夫からの望み通りにした結果 【3話】

 

「あの、まだ夫は出勤をしていない

ということでしょうか?」

 

私は思わず聞き返していた。

 

事務員

「マサヤさんは1カ月ほど、

体調不良でお休みをしていますが…」

事務員さんも困惑気味だった。

私はその場はなんとか

取り繕って電話を切った。

 

夕方、帰宅した夫に

どういうことかと尋ねようとした瞬間

 

「俺、明日から出張だから」

 

と、突然言い出した。

 

「…え?」

 

「急に決まったんだよ!
 
仕方ないだろ」

 

急に決まるも何も、夫は

今日どころかこの1ヵ月、

ずっと会社を休んでいたはず。

それなのに出張とは

どういうことだろう…?

 

私が疑問を口にする隙を与えず

 

「3泊になる予定だから、
 
そのつもりでいてくれ。
 
あ、本当に大事な取引先と会うから、

何があっても連絡は入れるなよ!

 
電話はもちろん、
 
メールやLINEもダメだ!」

 

…と、念押しをして来た。

いくら鈍い私でも、これは

おかしいと思うしかない。

しかも、夫が私に投げてよこした

スーツの上着のポケットから

零れ落ちた物。

 

それは「休憩」のある

宿泊施設のものだった。

浮気、確定と判断。

 

私を裏切ったことを

絶対に後悔させてやると、私は決意した。

 

夫に気取られないように、

態度に出さないようにするのが

大変だった。

その晩、私は夫に

 

「明日から大事な出張なんでしょ。

もう寝たら?」

 

早めに就寝することを勧めた。