私はキヌ子。
1つ年上の夫・マサヤとは
大学の先輩後輩関係だった。
大学の卒業後、お互いに
別業界に就職をしたけれど、
そのまま交際は続行。
私が25歳・夫26歳の時に結婚をした。
夫は幼少期に鍵っ子で
寂しい思いをしたらしく、
私に専業主婦を強く希望した。
夫
「帰って来た時に真っ暗で
冷暖房がついていない家って
寂しいんだ。
玄関に明かりがついて、
味噌汁の香りが漂い、
【おかえり】って
迎えてくれる人がいる。
そんな温かい生活に憧れるんだ」
…とのこと。
私も学生時代から
独り暮らしをしていたし、
実家で母が迎えてくれる時の
安心感は超理解できる。
だから、2つ返事でOKをした。
そして結婚して程なく、
例の感染症が猛威を振るいだした。
夫の会社もリモート出勤を採用し、
夫の在宅時間が増えた。
夫が家にいる時間が長くなると
夫婦仲が険悪になるという話は
良く聞いたけれど
まだまだ新婚気分の私達には
そんな心配は不要だった。
むしろ、雲行きが怪しくなりだしたのは
リモート勤務が解除されてからだった。
夫は出社するよりも
リモートの方が性に合っていたらしく、
日に日に苛立ちを
募らせていくようだった。
そのとばっちりを受けるのは、
もちろん私。
とにかく私を攻撃することで
溜飲を下げているようだった。
例えば、以前は手料理を
褒めてくれることがほとんどだったのに、
夫
「おい、今日の料理は
味が薄すぎやしないか?
いつになったら
俺の好みを覚えるんだよ!?」