トモヤ
「キヌ子が歩いている途中で
陣痛が来たら
どうするつもりなんだ!?」
と、詰問しても
義母
「本人が歩いて帰るって
言ったんじゃないの。
私のせいにしないでよ!」
と、逆ギレしたそうだ。
私は里帰り出産を
するつもりがなかったから、
病院も自宅のそばで予約していた。
だけど、こんな義母がいては
とてもじゃないが産めたものではない。
父がそう判断して、慌てて
今からでも受け入れてくれる
実家近くの病院を探した。
様々なツテを頼りに、ようやく
一カ所だけ空きがみつかった。
場合によっては陣痛室に入れず
ストレッチャー待機に
なるかもしれない…とは言われた。
それでも、義母がいつ来るか
わからない状態よりは
遥かにマシだった。
自宅近くの病院をキャンセルする際には
しつこく理由を聞かれたが、
実家近くの病院に口添えをしてもらって
ようやく納得してくれた。
こうして私は
義母の手が届かないところで
出産に臨むことができた。
しかし、
出産自体も大変だった。
初産だと言うのに、3週間ほど早く
陣痛が起きてしまったのだ。
その後スピード出産…と言えば、
安産のように聞こえるかもしれないが…。