モラハラ

我が子に暴言を吐く夫と離婚した結果【14】

 

元夫が私の視線を辿ると、

そこには鋭い目をしたマスターが。

 

普段は柔らかな物腰のイケてる

老紳士風のマスターだから、

余計に圧が凄い。

 

元夫

「お、おい。

何で店員が俺を睨むんだよ」

 

と夫は焦りつつも

小声になっている。

 

「そりゃ怒るでしょ。

大事な息子を貶されたら」

 

元夫

「え!?む、息子!?」

 

声が裏返る元夫。

 

「そうだよ。

ここは今の夫のご両親が

経営しているカフェなの!」

 

元夫をキッチンから睨みつける

今の義両親を確認して、

縮こまる元夫。

 

元夫

「やっぱ聞こえて…るよね?」

 

全部筒抜けでしょうね」

 

そもそも、他のお客様が

いない状況を作るために小1時間ほど

貸切にしてもらっているのだ。

 

ただでさえバカでかくて

遠慮を知らない元夫の声が

聞こえていないはずがない。

 

元夫

「お前なぁ!

そういうことは早く言えって!

 

はぁ…俺、ちょっと

具合が悪くなってきた…」

 

図太く見えて

メンタルの弱い元夫は、

アウェイな環境に耐えきれず、

逃亡していった。

 

私とエマは義母のご自慢の

シフォンケーキを

ゆっくりと味わい、

お礼を言って店を後にした。