私
「え…?
……もしかして…?」
私は相手の姿を
まじまじと見つめて、
ようやく誰だか判断がついた。
元夫だ…
結婚していた当時より、
ゆうに15kgは肥大していて
咄嗟に同一人物とは
わからなかったのだ。
元夫
「ちょっ、ちょっ!
その子って、俺たちの子?
えっ!うわー!マジかよ!?
めちゃくちゃ可愛いじゃん!
美少女ってやつだな!」
私が手を繋いで歩いていた
エマに食いつく元夫。
生後数か月の時に元夫が
「ブス、不細工」と貶していた
エマは、今や通りすがりの
女子高生たちからも
女子高生1
「っやだ、あの子見て!
ヤバ~い!」
女子高生2
「キッズモデルかな?
めちゃくちゃかわいー♪」
とキャッキャと騒がれる程度には、
誰が見ても
可愛らしい顔立ちになっていた。
ただ、エマ本人は赤ちゃんの頃に
会って以来の元夫の勢いに飲まれ、
私の手をギュッと強く握って来た。
私
「ちょっと、近すぎ。離れてよ
エマがビックリしてるじゃない」
元夫
「は?なんだよ、水臭いな。
俺はこの子の父親なんだぞ」
私達がそんなやり取りを
しているところ、
私の背後から柔らかい男性の声が
掛かった。