私
「私ね、今とても幸せなの。
あなたにも幸せを
分かち合ってくれる人が
現れるといいわね」
タケヒサ
「そうだな、
俺にとってその人は
キヌ子のことだよね」
私
「違うわ。私はもう、
婚約してるの。
私のことをとても大事に
してくれる人と、とても
幸せな日々を過ごしているの。
だから、もう私の人生を
引っ掻き回さないで」
そう言うと、
元夫の顔は青ざめ、強張った。
カズマ
「キヌ子?キヌ子、
どこに…?あ!」
こんなところにいたのか、
と婚約者のカズマが
ナチュラルに私と元夫の間に
割って入って庇ってくれた。
カズマ
「キヌ子、そろそろ
呼び出しじゃないか?
さ、行こう」
私
「うん。ありがとう」
私と婚約者が手を繋いで
待合室に向かおうとすると、
元夫が呼び止めた。
タケヒサ
「おい、アンタ。
キヌ子の婚約者だか
何だかしらんが、
人が話してる時に横から口を
出すのは礼儀知らずじゃね?」
ウザ絡みをする元夫に対して、
私の婚約者は
怯みもせず冷静に返した。
カズマ
「あなたに礼儀を
問われる謂れはありませんよ。
婚約者がいる女性を
強く引き留める方が、
常識知らずでしょう。
キヌ子さんはもう、
僕の婚約者です。
あなたは
赤の他人じゃありませんか」
タケヒサ
「この野郎…!」
と言うなり、元夫は私の
婚約者に掴みかかろうとした。