モラハラ

病気が見つかり夫に見捨てられた私【18話】

 

「私ね、今とても幸せなの。

あなたにも幸せを

分かち合ってくれる人が

現れるといいわね」

 

タケヒサ

「そうだな、

俺にとってその人は

キヌ子のことだよね」

 

「違うわ。私はもう、

婚約してるの。

 

私のことをとても大事に

してくれる人と、とても

幸せな日々を過ごしているの。

だから、もう私の人生を

引っ掻き回さないで」

 

そう言うと、

元夫の顔は青ざめ、強張った。

 

カズマ

「キヌ子?キヌ子、

どこに…?あ!」

 

こんなところにいたのか、

と婚約者のカズマが

ナチュラルに私と元夫の間に

割って入って庇ってくれた。

 

カズマ

「キヌ子、そろそろ

呼び出しじゃないか?

さ、行こう」

 

「うん。ありがとう」

 

私と婚約者が手を繋いで

待合室に向かおうとすると、

元夫が呼び止めた。

 

タケヒサ

「おい、アンタ。

キヌ子の婚約者だか

何だかしらんが、

人が話してる時に横から口を

出すのは礼儀知らずじゃね?」

 

ウザ絡みをする元夫に対して、

私の婚約者は

怯みもせず冷静に返した。

 

カズマ

「あなたに礼儀を

問われる謂れはありませんよ。

婚約者がいる女性を

強く引き留める方が、

常識知らずでしょう。

キヌ子さんはもう、

僕の婚約者です。

あなたは

赤の他人じゃありませんか」

 

タケヒサ

「この野郎…!」

 

と言うなり、元夫は私の

婚約者に掴みかかろうとした。