タケヒサ
「なんだ、
元気そうじゃん。検診?」
私
「うん」
気味の悪い粘着質な元夫の
表情に不穏なものを感じ、
私は手短に素っ気なく答えた。
タケヒサ
「そっか。実は俺も。
あの時は悪かったよ。
俺、どうかしてたんだ」
夫はそう言うなり、
急に肩を抱き寄せようと
腕を回してきた。
私
「やっ!」
私はなりふり構わず、
元夫の腕を振り払った。
タケヒサ
「何だよww
ツレないじゃん。
俺とお前の仲だろ?
照れんなよwww」
ニマニマとした笑みを
浮かべながら、なおも
距離を詰めようとする元夫。
タケヒサ
「俺さ、あの後
考え直したんだよ。
キヌ子はやっぱりイイ女だ。
俺、お前が忘れられない。
元々夫婦だったんだし、
こうして体に傷を抱える同士、
もう1度やり直そうよ。
今度はきっと上手く行くって」
昔の私だったら、コロッと
騙されていたかもしれない。
けれど、今は
虫唾が走るばかり。
あんなことがあったのを、私は
なかったことにはできない。
曖昧な態度は
誤解を招きかねない。
ここは
しっかりと釘を刺さなくては。