モラハラ

病気が見つかり夫に見捨てられた私【17話】

 

タケヒサ

「なんだ、

元気そうじゃん。検診?」

 

「うん」

 

気味の悪い粘着質な元夫の

表情に不穏なものを感じ、

私は手短に素っ気なく答えた。

 

タケヒサ

「そっか。実は俺も。

あの時は悪かったよ。

俺、どうかしてたんだ」

 

夫はそう言うなり、

急に肩を抱き寄せようと

腕を回してきた。

 

「やっ!」

 

私はなりふり構わず、

元夫の腕を振り払った。

 

タケヒサ

「何だよww

ツレないじゃん。

俺とお前の仲だろ?

照れんなよwww」

 

ニマニマとした笑みを

浮かべながら、なおも

距離を詰めようとする元夫。

 

タケヒサ

「俺さ、あの後

考え直したんだよ。

キヌ子はやっぱりイイ女だ。

俺、お前が忘れられない。

 

元々夫婦だったんだし、

こうして体に傷を抱える同士、

もう1度やり直そうよ。

今度はきっと上手く行くって」

 

昔の私だったら、コロッと

騙されていたかもしれない。

 

けれど、今は

虫唾が走るばかり。

 

あんなことがあったのを、私は

なかったことにはできない。

 

曖昧な態度は

誤解を招きかねない。

 

ここは

しっかりと釘を刺さなくては。