メイサ
「なにそれww
超ラッキーじゃんwww
バレないように
上手くやってよねw」
相手の女性はメイサと
いうらしい。
こんなやり取りも
履歴から発掘できた。
胃の中に大きな氷の塊が
落ちてきたような、
不思議な感覚が私を襲った。
私は物音を立てないように
玄関に戻り、元夫と女性の
ことを両親に打ち明けた。
母は天を仰ぎ、
父は顔を真っ赤にして2人を
すぐに叩き起こせと言う。
私はスマホの録音機能を
オンにして寝室に再び入り、
勢いよく毛布を剥ぎ取った。
ようやく目を覚ました2人は、
悪びれるでも
狼狽するでもなく、
ただ気怠そうにしていた。
アルコールが抜けきって
いなかったのかもしれない。
タケヒサ
「なんだ、キヌ子かよ。
てか、なんで
ここにいるわけ?」
私
「今日、退院したから。
荷物を取りに行くって
予め連絡してたでしょ」
タケヒサ
「あそ。
ならさっさと持って行けよ。
玄関の廊下にまとめて
おいただろ?
ったく、こっちは
眠いって―の」
メイサ
「アンタが捨てられた
元奥さん?
ちょっと図々しくない?
もうアンタの家じゃ
ないんだから、
勝手に入ってこないでよ」
私に文句を垂れながら、
再びベッドに
もぐりこもうとする2人。
これに腹を立てた両親が
ベッドから
二人を引き摺り出した。