あの日、ママが大部屋に
移動したことに気づかなかった
ナナちゃんは見知らぬ
他人がママのベッドにいて
とてもビックリしたそうだ。
そして今日は
ママの退院の日で、
私に母子揃って会いに
来てくれたということだった。
楽しい時間は
あっという間に過ぎ去り、
お別れの時間。
ナナちゃんママは
私に差し入れを渡してくれた。
その中にはナナちゃんママの
名刺もあり、私はそこに
記載されていたアドレスに
さっそく
お礼のメールを送った。
数日後、私にも
退院の日が訪れた。
前日から元夫に荷物を取りに
行くと連絡を入れていたが、
うんとも
すんとも返ってこない。
両親が私を迎えに来た頃に
なってもなしのつぶてだった。
両親は、
父
「何度も連絡を
入れているのだから、
さすがに承知しているだろう。
荷物がなければ
どうにもならないのだし、
とりあえず行こう」
と元夫宅へ
荷物を取りに行った。
玄関前では元夫の
携帯に電話をいれた。
それでも応答なし。
まだ鍵は持っていたため、
それで玄関を
開けて入らせてもらった。
私は一度、玄関先で
両親に待ってもらい、
1人で中に入った。
玄関付近にはダンボールが
いくつも積み重なっており、
乱雑な文字で「キヌ子」と
私の名前が書いてあった。