病気の伴侶が負担になる
という点は理解できても、
こうもアッサリと
妻を見捨てる夫の態度には
納得いかないと
いう様子だった。
両親は私を励まして
くれたけれど、
夫に見捨てられたという
残酷な現実に
気を取られていた
私には全く響かなかった。
ベッドの関係で
個室に入院していたので、
両親が帰り
1人取り残された私は、
様々な感情に
押しつぶされそうになり、
声を上げて泣いてしまった。
病気になんてならなければ。
病気のことを
夫に打ち明けなければ。
手術などせず、放置すれば
短い人生でも夫と仲良く
暮らせたのではないか。
いっそこの窓から…。
そんなネガティブな思考が
私を支配していた。
それでも病気や手術、
薬についての説明、
術前の検査などで意外と
バタバタと時間は過ぎていく。
いよいよ手術の前日、
お見舞いに来てくれた
両親を見送って
一息ついていると、
見知らぬ女の子が病室のドアを
カラカラと開けた。
個室なので私は1人。
恐らく誰かの部屋と
間違えたのだろう、
私の顔を見て驚いたように
固まってしまった
女の子に声を掛けた。