私
「信じられない…
10年経っても、
何も変わってないのね」
母
「お願いよ。
あなたしか頼れる人がいないの」
私
「頼れる人?w
私のことなんて、お金を
無心する時しか
思い出さないくせに?」
ヒロヤ
「姉ちゃん、俺たちだって
ちゃんと反省してる。だから…」
私
「反省って?
一体何を反省してるの?
借金作ったこと?
それとも、私を
利用しようとしたこと?」
重苦しい沈黙が部屋を支配する。
私
「…もう十分よ」
立ち上がろうとする私の袖を、
母が慌てて掴む。
母
「待って!トウ子、お願い。
今回だけよ。
今回さえ助けてくれれば…」
私
「今回だけ?10年前も
同じこと言ったわね。
でも、結局何も変わらなかった。
もういい、何も聞きたくない」
コウスケが私の肩に手を置き、
静かに頷いた。
私
「帰るわ。
二度と電話してこないで。
さようなら」
娘の手を握り、玄関に向かう。
車に乗り込み、エンジンをかける。
父の怒鳴り声、母の泣き声、
そしてヒロヤの懇願する声が、
次第に遠ざかっていく。
コウスケ
「大丈夫?」
私
「うん…なんとか…ね」
娘
「ママ、
おじいちゃんたち怖かった…」
私「ごめんね。
もう大丈夫だからね」
実家が見えなくなるまで、
誰も言葉を発さなかった。
長い一日が、
ようやく終わろうとしていた。
実家を後にした私たちは、
近くの公園に車を停めた。
頭の中を整理する必要があった。
コウスケ
「大丈夫か?」
私
「ええ…落ち着いたわ。
ただ、こんな家族の姿を
見せてしまって
申し訳ない気持ちでいっぱいよ」