家族

急いで実家へ帰省すると…【10】

 

「ちょっと、なんで

そんなこと聞くの?」

 

ヒロヤ

「いやぁ、姉ちゃんの

会社すごいって聞いたからさ。

気になっちゃってww」

 

アキノ

「ねぇねぇ、

高級車とか乗ってるの?」

 

「…」

 

コウスケ

「おい!アキノ!!

お前は口挟むんじゃねぇよ!!」

 

「いやいやw家族なんだから

気にすることないだろww」

 

「そうよ。私たち、

トウ子のこと誇りに思ってるの。

教えちょうだいよ」

 

その言葉で、

私の中で何かが切れた。

 

「誇り?冗談じゃないわ」

 

「え?」

 

「10年以上も連絡も

しなかったくせに、

急に『誇り』だなんて…。

本当の目的は何?

もしかして…またお金?」

 

「えっ!ま、まさか!

そんなことないわよ~!やぁ~ね」

 

ヒロヤ

「姉ちゃん、落ち着いてよ…」

 

アキノ

「あーwwやっぱりね。

お金持ちなんだ〜ww」

 

ヒロヤ

「おい!黙ってろって!」

 

アキノ

「なによ!私が悪いの?

お姉さんがケチなだけじゃない!」

 

拳を強く握りしめながら、

言葉を選ぶ。

 

「ケチ?」

 

思わず苦笑いが漏れる。

 

「何がケチなのかも

分からないけど…ごめんなさいね。

あなたの期待に沿えなくて。

でも、初対面の人に対して

そういう言葉を使うのは、

あまり良くないと思うわ」